バリ島現地情報

バリ島のお葬式『ガベン』に参列

世界には、日本とは少し違う、変わった風習などが沢山ありますが、お葬式の文化も、その土地によって様々ではないでしょうか?

埋葬の方法も、日本では火葬が一般的ですが、土葬・風葬・鳥葬など、その土地や宗教観によって違ってきます。

今回は、バリ島のお葬式に参列した時のお話を、ご紹介したいと思います。

バリヒンドゥー教では、火葬が一般的

インドネシアの国民は、約70%程の人が イスラム教 を信仰していますが、バリ島出身者の約80%の人々は、独自の バリヒンドゥー教 を信仰しています。

インドネシアは、1万個以上の島々で出来ています。
それぞれの島には、違った宗教観や風習があり、言葉も違います。
そんな中、バリ島は他の島からの移民や、外国からの移住者も多い為、様々な宗教が共存しているのが特徴的です。

バリヒンドゥー教の埋葬は、日本と同じ 火葬 が一般的です。
村によっては、土葬や風葬をする所もありますが、一般的には火葬です。

遺骨や遺灰は、日本の様にお墓を建てて保管する人も居ますが、ほとんどは海に流すことが多く、少し日本とは違った文化があるようです。

では、お葬式の様子はどうでしょうか?

男達の熱気が溢れる、バリ島のお葬式 【ガベン】

日本のお葬式と言えば、黒い喪服に身を包み、お坊さんがお経を読み、お線香を焚き、静かで悲しみに満ちたムードですが、バリ島のお葬式には、暗いムードはありません。

Ngaben(ガベン)と呼ばれるお葬式のセレモニーでは、故人の親族や町内の男性陣が主役となり、悲しみというよりは、熱気の溢れたお祭りのような雰囲気になります。

棺を乗せた塔を、何本もの竹で組み合わせた土台の上に乗せ、それを沢山の男達で担ぎ上げ、町内を練り歩きます。
日本のお神輿に見た目が似ていますよね!

縁起が良いとされる、馬や牛をモチーフにした模型のようなものも担ぎ、故人の親族(主に孫)がその上に乗り、こちらも同じく男性陣に担がれながら、町内を練り歩きます。

お葬式の間は、ガムラン演奏の音色が流れますが、こちらも日本のお祭りの時に演奏される、お囃子(おはやし)のような雰囲気です。
バリヒンドゥー教のセレモニーには、ガムランの音色は欠かせません。

服装は、バリヒンドゥー教の正装に身を包みますが、男性陣の服の色味は、暗い色で統一される事が多いです。
女性は、あまり色味に統一感は無く、色とりどりのクバヤを身につけています。

※ただし、お盆や寺院参拝の際は、黒のクバヤはご法度なんだそうです。

男達が棺を担いで町内を回ったあとは、広い空き地へと運び、そこで棺や塔や牛など、遺体と共に全てを燃やします。

日本のような火葬場などはないので、遺骨にするまでに何時間もかかりますが、これがバリヒンドゥー教の文化であり、今でも変わらずに続いている風習です。

そしてバリ島のお葬式は、早朝からのセレモニーに始まり、火葬後の遺骨を海に流すまで、丸1日かかることもある程、長時間行なわれます。

バリヒンドゥー教の、死への考え方

バリヒンドゥー教では、輪廻転生 の教えがあります。

身体(肉体)は、神様からの借り物。
だから身体は亡くなっても、魂はあの世で生まれ変わり、何度でもこの世に蘇ると信じられています。

もちろん、親族や友人が亡くなることは寂しいことですが、参列者の皆さんは、明るく前向きで、笑顔で送り出しているような印象を持ちました。

また、このような大きなお葬式が出来る人は、富の象徴(お金持ち)です。
裕福ではない方の場合、数名と合同でお葬式が執り行われることもあり、その場合は、数ヶ月間土葬しておく事もあるんだそうです。

バリ人にとって、お葬式のセレモニーこそが、『人生最後の盛大なお祭り』だと考えている方も多いのかもしれません。

 

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日本の、暗くて悲しいお葬式の雰囲気は苦手ですが、バリヒンドゥー教の様に、祝いのセレモニーだと考えたら、故人も嬉しい気持ちになるかもしれませんね。

旅行中、お葬式にばったり出会うことがあるかもしれません。
その時にはどうか、お悔やみの気持ちと、バリヒンドゥー教の人々への敬意の気持ちを、忘れないで下さいね🙏